”荒野を目指す精神”が、明日を拓く

MBA留学中に英国で知り合った、トルコ系ドイツ人が日本に留学していることは以前書きました。 http://learningshelf.net/2014/04/29/トルコ系ドイツ人のハングリーさ/ 日本には交換留学生として留学し、約半年間香川大学で授業を受けています。 その後、インターンシップ先を探して1年程度働くようなのですが、その条件が結構厳しいのです。 母校のドイツの大学からは、「自己開拓でインターンシップを見つけ出すこと」を要求されていて、先日会ったときは「どうやってインターンシップ先を見つけたらいいのだろう」と悩んでいました。見つからなければ、半年で帰国とのこと、必死そうでした。 「ドイツ語とトルコ語のネイティブで、英語も出来るんだから、海外進出したがっている日本企業にアプローチしたらきっとみつかるよ」と励ましましたが、内心は果たしてどうだろうかと心配していました。 そして先日、彼女から 「日本でインターン先が決まり、9月から働き始めることになった!」と妻に連絡があったのです。 どうやら手を尽くしてインターン先を探し、今回の留学を自力で「日本留学+インターンシップ経験」にバージョンアップさせたようなのです。 私はこの話を聞いて、大いに喜ぶとともに、彼女のチャレンジ精神にはほとほと関心させられました。 そもそもトルコ系ドイツ人であり、イスラム教徒でもある彼女にとって、日本はまさに異文化の国。そこに単身渡り、苦労を買って出ている。そして手探りでインターン先を探し当て、職務経験を積もうとしている。 誰かが踏み固めた道ではなく、独力で道を切り開こうとしているのです。 既に敷かれた就職活動のレールにのり、皆といっしょになって内定獲得競争に励む日本の大学生とは、極めて異質なアプローチです。 どちらが良いか悪いかではなく、どちらが人間の生き方として本質的であるのか。どちらが生きる実感を感じ、後悔がないのだろうか。ちょっとかんがえさせられてしまします。 私には、そんな彼女が、”笑顔を絶やさず、前向きに、荒野を目指して歩き続けている”ように見えました。 インターンはうまく行かないかもしれない。 留学もいい事ばかりではないかもしれない。 しかし、彼女は自分で決めた道を、自分の力で歩いている。 目先の損得勘定など関係なく、大きな自分の夢、志を掲げて、歩みをすすめているのです。 こうした、リスクを取ること、「荒野を目指す精神」は、必ず明日を拓くはず。 我々も、いくつになっても、「青年は荒野を目指せ」とばかりに、挑戦をつづけたいものだと思わされました。

外資系企業と日系企業の両方を経験してわかった、「攻めの経理」への意識の違い

日本国内の市場が縮小する中、日本企業は海外展開を余儀なくされています。 海外で稼げるグローバル企業への早期に脱皮できた企業もあれば、ひたすら赤字を垂れ流してもがき苦しむ企業もあります。 いったいどこにその差があるのでしょうか。 ビジネスモデルの選択、マーケティング戦略、営業力、グローバル人材・・・様々な要素が考えられそうです。 しかし、私はあえて、「管理会計に強い経理ファイナンス部門を抱えている会社は、海外展開に早期に成功する」と思います。 それはなぜでしょうか。 それは、管理会計が「攻めの経理」だからです。 「攻めの経理」とはどういうことかというと、とにかく経営者に近いのです。経営者の意思決定を左右する計数データをあつかうため、とにかく、精神的にも肉体的にもハードなのです。 またビジネスを経営者の意向にそいつつも、会計的に問題がない形でビジネスを前に進めるよう、予算管理の視点から現場へコミュニケーションを取る必要があり、これも非常にタフな作業です。経費使用の促進やストップ、新たな投資案件の検討など、様々な思惑が錯綜するため、管理会計はしばしば戦いの様相を呈します。 これが海外展開という未知の領域であればあるほど、扱うべき変数も増えます。混沌とした世界では、強いリーダーシップが求められ、それを支えるのが「攻めの経理」たる管理会計なのです。 私が外資系企業に勤務していた時、経理ファイナンス部門は70人ほどいました。その外人CFOの部屋のドアの前には、必ず管理会計部署、とくに予算管理の担当者の座席が設置されていました。「彼に聞けば、会社の数字の全てがわかる」という状態が、予算管理担当には求められるのです。 この「管理会計は攻めの経理」という発想は、外資で徹底されています。 しかし、日系企業ではそういった認識はほぼありません。 この認識の差が、企業の「攻め」の活動の典型である、海外展開の巧拙に影響していると言えます。 外資では管理会計の部署が独立して設置されることが殆どで、そこでビジネスのドライブに明確な責任とプレーシャーを与えていますが、日系企業では実態のよくわからないぼやっとした名称の「経営企画部」の中に、管理会計担当がいるのが殆どです。(ちなみに外資では、経営企画部はありません)。 ちなみに「守りの経理」の典型が、財務活計です。これはいわゆる、「会計的に正しく帳簿をつけ、利益計算し、税金まで1円の狂いもなく計算する世界です。ルールがあり、同じ事の繰り返しでもあるので、比較的のんびりできる仕事です。ミスがあっても修正仕訳すればリカバーできます。 日系企業は、この「攻めの経理」と「守りの経理」が、ごっちゃになっているのです。人数の少ない会社では、一人で両方担当しているケースもあります。両方の仕事は似て非なるもの、求められるメンタリティ自体が全く異なるのです。これでは管理がうまく行くはずはありません。 しかし外資では、小規模な企業でも、必ず財務会計担当と、管理会計担当を分けて設置します。後者のほうが、明らかに効率がいい。 日系企業は、「攻めの経理」への意識を高め、専任担当者を設置することで、変数の多い海外展開に、うまく対応できる可能性が高まるのではないかと思います。

MBAで磨いたオペレーションの知識は、全ての業務構築や改善に活きる

MBAでの学びって、いったいどれぐらい実務で役立つの? そんな疑問をお持ちの方も多いと思います。 日本にも数多くのMBAを提供する学校が増え、質も様々であり、一概には言えませんが、私が留学したMBAでの学びは、実務で多いに役立ちました。特に私が研究対象とした「オペレーション」は、業種職種を問わずに使える、汎用性の高い学問です。 MBAでのDissertation(修士論文)で、私が選んだテーマは、「英語教育サービスの標準化」でした。 日本のある英語塾をリサーチし、どうしたら授業の質を均質化できるか、 そして多店舗展開するために必要な要素を研究しました。 具体的には、100人の生徒にアンケートを取り、授業の 質についての生徒の認知レベルを評価しました。問題点を探る為です。 また、授業の流れをプロセスマッピングに書き起こし、授業の標準化を妨げるボトルネックを特定しました。このほかにも、オペレーションの授業で学んだフレームワークを応用し、現象を分析したのです。 この時の結論としてはこうです。 教育カリキュラムに統一性がなく、また教師によって教える内容にばらつきが多かったため、生徒側が認知する授業の質も一定していない。カリキュラムや授業指導内容をより体系的にそして細かく作る事ができるかが鍵となる、ということでした。 これは、授業を教師個人の力量に頼らないということです。 カリキュラム体系を作り込む事で、そして授業内容を細かく工程管理することで、誰が教えても同じ水準の授業サービスを生徒に提供できるのです。 この論文作成の経験から、「ゆくゆくは、MBA、とくにオペレーションの知識を利用して、英語学習を体系化して細かい工程を作り、誰が教えても、生徒の英語力が確実に上達するシステムをつくりたい」という想いを抱くようになりました。 しかし、夫婦二人で留学し貯金を使い果たした悲惨な(笑)状況で、特に妻の預金残高が8000円となったとき、背に腹は変えられずと、英語教育への想いはいったん置き、私はとあるベンチャー企業の財務担当で働きはじめました。そこではゼロから予算管理体制構築、管理会計の仕組み作りに携わりました。 MBA後に入社したその会社で管理会計の仕組みをゼロから作った際も、このオペレーションの工程管理の発想を利用しました。誰がやっても業務が回る、標準化された再現性の高い仕組みが完成し、私が入社する前は混沌としていた管理会計の世界が、今ではだれでも処理を行える仕組みとなりました。 この経験から次のような確信をえました。 MBAで学んだオペレーションの知識を実際の実務で使う事で、オペレーションの標準化や体系化、業務プロセスの工程管理について、人に負けない強みを持つようになったと感じています。MBAで学んだオペレーションの知識は、全ての業務改善や仕組み構築に非常に役立つのです。 そしてここにきて、MBAで学び実務で鍛えたオペレーションの知識と経験を、今度はもともと強い思い入れがあった、英語教育の標準化、工程管理作成に応用してみようと決心しました。 今後新しい挑戦を始めようと考えています。 「MBAは糞の役にも立たない」という人も居るかもしれません。人によってはそうかもしれません。 しかし私にとっては、MBA留学で「何したって、どこだって生きていけるさ」と、変な開き直りと自信が得られました。生きる上で、これほど役に立つツールはないのでは、とも個人的に感じています。