ある研究会にて

先日、ある英語授業の研究会にはじめて参加しました。 中学高校の現場で、実際に英語を教えている教員が集まっていました。 自ら授業を公開し、問題点を掘り下げたいと希望した教師が、通常の自分の授業を録画して持参し、その研究会の場で見せるのです。 今回発表された教師は、中学校1年生を指導している方で、まだ経験が浅く2年目とのことでした。 「中学校の英語はオールイングリッシュで教える」ことが、学習指導要領で明記されていますが、まさにこの方も英語で授業を行っていました。 映像を用いると、授業の臨場感が伝わり、今学校教育の現場で何が起こっているのか、非常によくわかるため大変面白いと思い試みです。 この授業研究会での公開授業を見て、率直に大きなショックを受けました。 オールイングリッシュの授業は、確かに私が中学校で受けた英語授業とは、良い意味でも悪い意味でも様変わりしています。 多忙な中で授業を行っている教師の方には、その努力に敬意を評したいと思います。 しかしそこには、教員が必死になって授業を英語で行うことに固執しすぎて、それについていけず困惑する生徒が映し出されていました。 一方で、「これでは英語学習に希望をもって入学した生徒が、かわいそうだ」と率直に思いました。 授業の構成も、たくさんのアクティビティーが導入されていましたが、それぞれのつながりに明確な意図がないため、聴衆からの「なぜここでこの活動をいれたのですか」という問いに、教師も明確な説明ができません。生徒のどの英語力を高めようとしているのか、はっきりと見えませんでした。 また英語教授法もさることながら、英語教員のスピーキング力も、改善の余地を感じました。 自分なりに、どうしたらいいのだろうかと考えました。 突き詰めてみると、こんな考えが頭をよぎります。 当たり前のことだが、結局、英語教員が備えている英語力以上に、生徒の英語力を高めることは出来ないのではないのだろうか。 自分が英語を使うことを楽しんでいないのならば、どうして生徒に英語を使うことの楽しさを感化できるのだろうか。 英語力向上は、単に小中高校生だけでなく、英語教育のスペシャリストたる英語教員にも、例外無く必要なのだと、実感した研究会でした。

ノルウェー人の英語力を、ノンネイティブのわれわれが目指すべき理由

MBAの最終論文を提出し、その足で北欧旅行にむかったときの話です。9泊10日、ノルウェー、スウェーデン、エストニア、フィンランドを駆け抜けていました。 まずはノルウェーでベルゲン、フラム、オスロを訪れました。海産物とフィヨルドで有名、経済規模はお隣スウェーデンの約半分、神奈川県程度のようです。ユーロ未加盟で、通貨クローネを購入する必要があります。物価は高く、粗末サンドウィッチが600円したり。税率14-25パーセント、まさに高福祉こう負担。途中、フラムの湖?海?の透明度は言語を絶するほどの美しさでした。 一番驚いたのは、ノルウェー人の英語力の高さです。これまで私がおとずれたヨーロッパで一番流暢に操るといういんしょうです。イギリスにちかいのに、公教育ではアメリカンイングリッシュが採用されています。うーん。カフェ、スーパー、ホテルから、電車、船の至る所で、ふつうのノルウェー人が第二外国語として十分なレベルの英語をはなす。日本人もこのぐらいの運用力があれば、ビジネスチャンスが広がるのに、とかんじます。ノンネイティブであるわれわれ日本人がまずは目指すべき、英語運用能力のベンチマークとなりえます。 彼らは小学生1年から英語を学びはじめ、TVも英米コンテンツの輸入が多いためえ英語に触れ続ける環境があるそうです。ホテルのTVも、英語の番組がたくさんでした。ノルウェー語は英語と近いゲルマン系というアドバンテージもありますが、日本人もノルウェーの英語教育から学べることは多そうです。

フィンランドの英語教科書から学ぶ、本当に使える英語の身につけ方

なぜ日本人は英語が苦手なのか。考えられる理由は簡単で、学校教育で”実際に使える英語”を教えられていないからです。ここでは英語教員のレベルに的をしぼってみましょう。 残念ながら、中学や高校の英語教員は、”生徒の英語運用能力を高める”という視点で授業を行えていません。考えてみればこれは至極当然です。なぜなら現在の日本で英語教員になるためには、英語ではなく英米文学を大学で専攻する必要であり、もともと彼らにとって英語運用力を高めるインセンティブはそれほどないのです。これは彼ら教員が悪いのではなく、しくみに問題があります。免許取得、採用試験という”入り口”の基準が、そもそも時代に合っておらず、そのしわ寄せが子供たちに集まっている。 日本と比べ、フィンランドの英語教育は非常に実践的だといわれています。私が旅した時も、ヨーロッパの中でかなり高い英語力を持っていることがわかりました。 学校では特にネイティブ教師がおしえるわけでなく、フィンランド人の英語教師が授業を行い、それで十分生徒の英語力を実用に耐えうるレベルまで引き上げている。 日本とフィンランドの何が違うのか知りたくて、フィンランドの書店で高校の英語教科書を購入してみました。 高校1年生レベルの教科書を手に取ると、気づいたことがあります。 「これは私が英国の英語学校で学んだテキストと似ている」ということです。つまり、極めて実践的。 このテキストは”実際にすぐ使える”という視点で構成されています。 たとえば、”席が空いているか聞かれたときに、最も簡潔な返答を述べよ”、というような問いが、英語で書かれている。とにかく、実践的な英語力を高める仕掛けがふんだんに盛り込まれています。 私が学んだ英国での語学学校のように実践的すぎる、とすら感じました。 彼らにしてみれば、”実際にすぐ使えないような英語を学んでどうするのか”という思いがあるのです。確かに、この教科書の内容は英語コミュニケーション力を高め、物事を進めていく力を強化できます。 日本の高校英語教科書は、フィンランドに比べれば、知的で高尚な内容かもしれません。しかし、英語の運用能力はフィンランドに遠く及ばない。 実用的な英語を軽視せず、フィンランドのように”実際に英語で物事を進める使うこと前提で、実利を重視した英語教育”が、今の日本には求められています。