民間出身だからわかる、教職のおもしろさ

世間では、教師という仕事へのネガティブな報道が増えている。教職を志す若い人が減っているという話も聞く。公教育の教員採用倍率は、小学校では2倍程度と過去最低水準である。こうした報道も影響しているのだろう。

民間企業を経験し、留学後に免許を取得して教師になった私は思う。教職は、面白い。組織に属しつつも、出世を目指さずに自己実現が可能な、まれな職業である。

先日上司に呼び止められた。何かしでかしたのだろうか。

「君、前年度の評価に対して、上層部から修正が入って、最上位にランクしたよ。ボーナスがちょっとは上がると思う」と言われる。

上司が立ち去ったあと、意外で、茫然と立ち尽くす。

身を粉にして部活に打ち込むわけでもなく、残業して職場に張り付いているわけでもない。子育てのため、定時に帰宅する。そのために仕事を極限まで効率化する。職場への貢献度は高いわけではない、と自分でもわかっている。

だが、評価は修正されたという。なぜか。それは、私が教育実践を論文に発表したり、公開講座を開催して一般の方に授業してきた活動が、ある層の目にとまったのだと思う。だれの指示でもなく、自分がやりたくてやったことである。目の前の生徒が喜ぶことを、世に問うようなフォーマットで提示しただけである。

教師という仕事に転職してから、私はお金に対する関心がなくなった。なぜか。仕事自体が面白く、常に学ぶことが求められる。よい授業をするための努力は楽しい。身銭を切って研修を受けたり、書籍を購入する。生徒の反応が変わる。このサイクルが面白いのである。金銭的報酬はどうでもよいのである。

教職は面白い。民間出身だからこそわかるすばらしさがある。

学校は知と経験の宝庫である。暗黙知で溢れている。教えるプロは、学びのプロでもある。民間企業で語られる雑談と、職員室での雑談はまるでちがう。低俗な話題か、それとも高度な専門分野から時世を切る知的な会話か。もちろん後者である。それが、多様な教科の先生の口から語られる。理科社会から古典国語、数学や芸術など。

学校は実社会とかけ離れている。浮世離れしているが、一方で神羅万象のかなりの部分を反映していたりもする。そこが面白い。

教育は経験がものをいう。ベテランの味は大切。だが、若い人の突破力も極めて重要である。若者よ、ぜひ教職をめざしてほしい。学ぶことが好きなら、〇。

ストレートで大学から教職に進むのもよい。教育学をキチンとおさめた、正論を語れる「ザ教師」は、教育現場に欠かせない。だが私は民間企業で働いた後に教師になるのもよいと思う。


民間出身の私は思う。教育はやりがいに満ちている。効率を度外視してのめりこめる魅力がある。一方で教師のプライベート生活も大切だ。民間を経験すると、この辺りのバランス感覚が身につく。

多様性が組織の強みとなる。いろんな教師がいていい。子供は100人の「よい」大人と接して成長する、という。教師の多様性が、生徒の可能性を拓く。

若者よ、興味があるのなら、恐れず教育の世界へ飛び込んでほしい。

アドバイスを。人に負けない、自分の武器を持つこと。好きなことを磨き続けること。身銭を切って学び続けること。人と協調性を持ちつつも、ある局面では「相手と刺し違える(あくまで比喩です)」気迫と覚悟を養うこと。

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