翻訳家・関美和さんの英語学習法 洋書多読とaudioの活用

金曜のあさイチプレミアムトークに、翻訳家の関美和さんが登場。主にビジネス書の翻訳が専門で、特に”Factfulness”の翻訳で一躍脚光を浴びた方である。

英語を得意になるために、「英語の本を1冊読み切ること」をおすすめしていた。参考になったので、以下にまとめたい。他のインタビューなども読み、彼女のキャリアと勉強法をまとめた。

関さんは、自分のことを「バブル世代のど真ん中」と称する。さらに、超高学歴であり、ビジネスキャリアも華々しい。慶應義塾大学文学部→電通→金融機関→ハーバードMBA→外資系金融。20年ほど前の野心的なビジネスマンのモデルキャリアのようだ。ビジネススクールから金融の世界で大金を得る、というかつてのビジネスエリートの王道を、まさに地で行く活躍ぶり。

その彼女は、44歳で退職し、以前から興味のあった翻訳家の道へ進む。慶應大学法学部に入り直し、弁護士を目指しながらの転身であった。その彼女に試練が訪れる。旦那から離婚を切り出されたのだ。転職し、さあこれからという時、人生のどん底を経験したという。長男はアメリカの高校へいっており、長女と2人暮らしが始まる。長女は当時を大変だったと振り返る。

結局、関さんは法学部を卒業するが、弁護士にはならなかった。自分の能力の限界を感じたそうで、再入学から10年たった今なら、自分に「専門を持って、PhDを取れと言ってやりたい」、と振り返る。45歳の当時の自分に対しての言葉である。45歳でも、PhD取得への挑戦は、十分価値がある、ということであろう。

現在、関さんは杏林大学の准教授として英語を教えている。今年で6年目になるそうである。グローバル経験があり、海外MBAだけでなく、翻訳実務の専門を持つ彼女は、英語教師としての強みが際立っているといえる。

さて、彼女が翻訳を志したのは、1冊の本との出会いであった。”I don’t know ho she does it”という本を読み、どうしても自分で翻訳したいと思って、出版社に持ち込んだ。残念ながら話は流れたが、他の本を翻訳する機会に恵まれ、現在に至る。行動力のある方だ。

その彼女に、お笑いコンビ博多大吉が、「もともと英語は得意だったんですか」と聞く。関さんは、「英語は好きで、日本でも英語の成績は良かったが、アメリカで英語が伝わらず、通用しなかった。とても英語に苦労した。日本生まれ日本育ちだったので。」という。意外である。

博多大吉は、「ではどのように英語力を伸ばしたのですか」と問う。関さんは、「いつごろか、ちょっとだけ英語がわかるようになってきたな、と思ったのは、たくさん本を読み始めてからなんです。英語の本を沢山読み、徐々に英語力が伸びていった」という。

「英語力を伸ばしたい人には、とにかく英語の本を最初から最後まで1冊読み切る体験をしてほしい、と伝えている。学生にも話す。」ということである。

「英語の本を読むことが、英語の上達につながる、と思います」と力強く話していた。

この話は、まさに「多読のすすめ」である。洋書を手に取り、読み進めよ、されば道は開かれん、ということだ。

特に私が興味を持ったのは、彼女の翻訳法だ。彼女の翻訳文体は、自然な日本語であると、編集者から高い評価を得ている。その秘訣を問われ、彼女は、「洋書を翻訳するときは、文字だけでなく、朗読音声を参考にする」という。

なに?意外だな、と思い、理由を聞くと、「洋書のaudiobook、つまり英語音声を聞くと、文章の強調ポイントや区切りなどがよくわかり、その本を違った角度から理解できる。これが翻訳の際に参考になる」と話していた。

これはまさに、「多聴」である。本を読みながら、その朗読音声を聞くことを、「多聴」という。関さんは、この「多聴」を、翻訳の際に最大限利用していたのだ。

私には、この「音声利用」、つまり「多聴」が、読書の推進力になると感じる。私が高校生に多読指導したとき、英語の苦手な彼らが英語へ抵抗なく親しんだのは、単なる読書だけでなく、音声での読書、つまり「多聴」を多量に行ったからであった。まして、彼女のような超エリートでも、洋書読書の際、音声の価値を認めているのだ。

まとめよう。関さんの英語学習法から言えること。それは、英語がわかるようになるためには、洋書を1冊読み切ろう。それを沢山積み重ねよう。そして、朗読音声をうまく活用しよう。

易しい絵本から始め、語彙制限のある学習者用多読本に入り、やがては興味のある分野の洋書を読み切れるレベルを目指す。素晴らしい学習法とかんじられないだろうか。英語に慣れ、やがては英語で相手を説得したり、英語で泣き笑いできるようになる。なんと素敵なことだろう。私も続けている。

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