多読授業の標準テンプレート案

イギリスの大学院に留学した時の修士論文テーマは、「サービスの標準化」だった。この時の発想を元に、英語学習の基本フォーマットを開発している。

今は多読学習に標準を絞ってワークシートを作った。英語多読はリーディング力向上や、学習の自律性が高まるなど効果が報告されているが、普通の中学校や高校での導入は容易ではない。多読学習を成功させるには、いくつかの条件があるからだ。

まず十分な蔵書という物理的な面だ。300-500冊の本を揃えないと、自ら好きな本を選んで読むという多読の良さを体験できない。

次に生徒のレベルにあった選書を提案する教師側の提案力も必要だ。スラスラとストレスなく読める本を、段階的に提示するのは、教師の経験とスキルがいるためだ。

次に多読へのマンネリに対する対処もいる。生徒は初めは多読に関心を示すが、その後の取り組みには個人差が出る。単に洋書絵本を読むという行為は、単調だ。一部の読書好きを除けば、読書習慣のない生徒にとって、読書は楽しみではなく、強制された活動でしかない。単に本を読む時間を確保しても、生徒がうわの空なら時間つぶしの域を出ない。

だから多読指導には工夫がいる。多読学習を可視化させ、五感を使った活動を取り入れると、モチベーションが維持できる。

そして多読授業の一回一回に、小さな喜び、もっと力を伸ばしたいと思えるフィードバックの機会を設けると、生徒は達成感を感じやすくなる。その結果、生徒は目の色を変えて読書に取り組む。英語のスコアも伸びる。

こんなことが可能なのか。今はそれを検証している。多読を取り入れたい人のためのワークシートを作り、実際の生徒の変容を追っている。

ワークシートの良さは、作業が標準化されているので、指導側の経験やスキルに左右されず、一定の水準で多読授業を行うことができる点だ。生徒に提供するサービスの質的バラツキを抑えられるので、安定した授業展開が期待できる。

こう言った発想は、多読教育にはみられなかった。多読指導は司書的な要素が求めれるので、どうしても経験豊富な読書好きの教師の得意分野となってきた。だから異端的なワークシートを用いた多読学習は、すでに多読を実践している方からは、理解を得られないかもしれない。

私の立ち位置は、多読へのマンネリ打破や達成感upのための「多読学習支援ツール」提案、である。教師にとって、あくまでTPOに合わせて必要な場面で使える武器の一つに過ぎない。

このワークシートを4ヶ月も使い続けると、生徒も少しずつかわっていくのを感じる。英語を読むだけでなく、書いたり話したりすることへの抵抗も無くなってきた。さらなる実践を続け、論文にまでまとめたい。