よい発問のために(3)ー学習者の答えにどう反応するか

教師の問いかけに反応してくれた生徒への対応: 私の授業を映像で見てもらった際、師匠に叱られたことがあった。発問に対する生徒の発言を、もっとしっかり受け止めろ、と厳しく指摘された。指摘事項を以下にまとめる。 生徒の回答、反応は宝である。大いに褒め、正しい英語で言い換える、つまりrecastしてやる。どんな英語も受け止めて、正しい英語にしてくれると感じさせることが、教師への信頼感になる。 生徒のどんな英語も、ひろってやる。そしてそれを正しい英語にして返してやる。これは一筋縄ではいかない。 まず生徒の発話を流さず、しっかりと聞き取る集中力が必要である。自分の話したいことばかり考えていたら、生徒の言葉へ反応できないだろう。つまり余裕が求められる。私の師匠は、「生徒の発話は宝です。その宝を大切にしてあげなければならない」という。大切にするとは、しっかりと受け止め、感謝と喜びを伝え、大げさなぐらいに反応することだ。 次に、当たり前であるが、高度な英語力も求められる。生徒の不十分な英語を、ただしい英語に変換して即座に話すことを、Recastingという。このrecastingを行うには、リスニング力、瞬発力、文法力などを十分に備えておく必要がある。一朝一夕には身につかない。よい英語教師は、絶え間ない英語力の向上を実践し続けなければならないのである。 一般的にも、相手の話をよく聞ききなさい、とよく言われる。よく聞くことができるということは、頭がよいということだ。まず、よく聞く、という行為は、受け身ではできない。相手の言葉を一字一句逃さずに拾い、適切に反応することは、積極的な姿勢が求められるからだ。もし相手の発話が不十分であれば、それを補って、「それは●●ということですね」と、相手の言わんとすることを正確に言語化してやる。こうすれば、お互いの誤解は最小化され、相手からも「私の話をよく聞いてもらっている、と感謝されるであろう。だから頭がよくなければ、よく聞くことはできない。 相手の話をよく聞くことは、コミュニケーションの第一歩である。当たり前すぎて、ただのきれいごとに聞こえるかもしれないが、最も基本的で、大切な姿勢である。 私は、自分の英語授業の映像を見ていただいて、経験豊富な師匠から多くのフィードバックをもらった。特に、この「生徒の声は宝であり、感謝し、正確な表現へリキャストして投げ返せ」という言葉は、英語の指導技術以上の、コミュニケーションの本質を含んでいると感じた。 http://learningshelf.net/2019/11/05/よい発問について(1)生徒に問いかけ、思考力/

よい発問について(1)生徒に問いかけ、思考力をはぐくむ発問をするために

「表面的なオールイングリッシュの授業である」 私の英語授業を見た、英語教育界の重鎮の意見である。 「まず、生徒の思考力を高める発問がない。思考力を高めるには、生徒の思考の流れに沿って、質問しながら理解を深めさせることが必要だ」 確かに、インタラクションがない。教師が一方的に教科書の英文を生徒に話し、生徒に活動させているだけの授業、といわれても、反論できない。小さな工夫はいくつも取り入れているが、授業の幹がない。 生徒への発問も、問題があると指摘された。「あなたはembarrassing silence 気まずい沈黙を意図せずしてたくさん作り出してる。緊張感が生まれるので、それ自体は良いものだが、適切な援助がないと、生徒は答えづらい。」 ではどうしたら生徒にとって答えやすい質問をつくることができるのだろうか。 「生徒の答えを引き出すため、3種類の質問を使いこなせ。1つはWh-questions. why?5w1h。2つ目はA or B。選択肢を提示して選ばせる。3つ目はYes、no questions. これを混ぜながら、生徒の思考の流れに沿って発問をし、答えを引き出す。」 頭ではなんとなくわかっていても、整理して理解できていない。さらに、これを自在に使いこなせるスキルにまで習熟できていないことは明らかであった。 日常生活から、こうした発問のフレームワークを意識し、言葉を選んで問いかけたらどうだろうかと考えた。目の前の生徒や、自分の子供に向けて、語りかける。相手にとって理解しやすいような、会話の流れを作るのだ。 考えてみると、こうした授業の教授法は、汎用性が極めて高いことに気づく。難しい内容、概念を、問答を繰り返しながら、理解させていくことは、英語だけに限らず、他教科でも必要とされる授業教授法のスキルであろう。 もっといえば、生徒指導、保護者対応、そして進路指導などにも応用が利く。相手の思考を刺激するような問を投げかける力は、授業だけでは身につかない。全生活の中で、意識しながら、さまざなま場面を利用して、磨き続けるスキルである。 http://learningshelf.net/2019/10/29/2127/良い発問のために(2)