14 通訳案内士の勉強をしてよかったこと2 英語を話す力がUP

 通訳案内士試験を勉強してよかったことの2つ目は、英語を話す力がUPしたことだ。その理由の一つに、「英語をつぶやく習慣」を身に着けることができた点がある。この試験では、2次試験に対象言語でのプレゼンテーションと応答、そして通訳問題が出題される。これに対応するためには、付け焼刃の対策では合格できない。普段から英語を話す必要がある。そのため日常生活のなかで、できるだけ「英語を話す」モチベーションが得られたのである。とくにこの試験は、英語の正確性よりも流暢性に重点が置かれているので、時間を見つけては、間違いを恐れずに一人で英語をつぶやく習慣が身についた。

 語彙力が強化されたことも、英語を話す力が高まったもう一つの理由だ。語彙力が付くと、自分の表現力が豊かになり、英語で伝えられる内容自体が深まる。つまり内容のある英語を話すためには、ある程度の専門用語を使いこなす必要がある。その点、この試験を勉強したことで、日本的事象の語彙が大幅に増えた。実際、職場のネイティブに日本文化を説明するとき、さまざまな日本文化や事象を英語で説明することが容易になった。 

英語を話す力がUPした理由の3つ目は、「通訳案内士資格」を学習すると、英語を使用するためのAuthentic(本物の、の意味)な機会を作り出せることだ。どういうことかというと、日本にいながら、英語を使って世界と繋がれる場を手にすることができるのだ。そもそも通訳案内士の資格を取る目的の1つが、「日本で英語を使う必然性を作る」ためであった。大学院留学から帰国し、日本で英語を使う場面が激減したので、英語を使う場に身を置く作戦を考えていた。その点、この全国通訳案内士は、恰好の資格であった。日本で英語を使って観光ガイドが出来る。日本文化を英語で説明する動機付けが高まる。余暇があれば、東京の観光ボランティアに登録して、英語で社会貢献もできるのである。

 もう一つは、通訳案内士の勉強をすると、ソーシャルスキルが向上するのだ。いってみれば、英語での「雑談力」が上がるのである。ネイティブと英語で「雑談」することは、思った以上に難しい。単に単語力や流暢性が高まれば、英語でうまくコミュニケーションをとれるわけではない。たとえば、通勤途上で会ったネイティブの同僚と30分英語で話す場面を想像してほしい。共通の趣味があれば話は別であるが、意外に話すネタに困るものだ。

 雑談のテーマとして使えるのは、旅行や食事、行事や歴史、スポーツなどであろう。よく言われるのが、「木戸に立てかけせし衣食住」だ。いわば道楽についてである。このテーマを雑談で使えば、たいていは話すネタに困らない。それは外国人相手でも同じである。実は通訳案内士の試験は、このテーマをほぼ網羅しているのだ。だからこの内容を英語で話せる力がつくと、飛躍的に「雑談する力」が身につく。

 私の職場にはネイティブの同僚がいる。実際、通訳案内士の勉強をした後、彼らたちとの雑談が、格段に楽にできるようになったのだ。「木戸に立てかけせし衣食住」のような個人の道楽について、英語の語彙や知識が増えたためだ。例えば、季節の日本食を英語で説明したり、特徴や歴史を話題にすると、それだけで盛り上がる。食の単語などは、他の英語試験を勉強しても、なかなか身につかない語彙である。 l