11 通訳案内士試験で取るべき3つの戦略 (2)

第二の戦略は、「限界費用の低い科目から学ぶ」ことだ。限界費用については以前説明した。経済学の概念で、簡単に言うと、1単位当たりの製品やサービスを追加で作るのに、必要となる費用のことだ。具体例を挙げてみる。会計処理のソフトウェアを生産するのに、500万円を投資した。プログラマーの人件費や特許使用料などである。最初の製品を作るために、パッケージコストとして3万円を使った。1本目のソフトウェアコストは、503万円である。2本目以降は、プログラムをコピーするだけだ。何本作っても一本あたりパーケージ代の3万円だけで済む。これを「限界費用が低い」と考える。

この第二戦略では、1単位当たり作るための追加費用が少ない=限界費用が低い対象を選んで学習するのだ。言い換えれば、自分がすでに持っているスキルや知識を使い、労力をかけずに別のスキルを身につけていく。自分のスキルを「コピー」して新しいことに生かすイメージだ。例えば、通訳案内士の1次試験は5科目で構成される。その中で、すでに背景知識を持っているものから学ぶ。既存の知識を生かして学ぶので、効率的だ。また対象に馴染みがあるので、学習のストレスも少ない。結果として挫折しにくくなる。特に試験科目の日本史、日本地理、一般常識(政治経済)は、日本人であれば誰しも、中学校や高校で学んだ科目だ。この知識を生かせば、合格水準へ到達する労力を軽減できる。

私の例を挙げると、そもそも1次試験の5科目中、外国語(英語)科目は英検1級を取得していたので、それを活用し科目免除の権利を得た。また2次試験のプレゼンテーション面接試験は、これまでの英語学習を生かし、日本的事象の語彙を増強するなどして、短期間に合格レベルに達した。「限界費用の低い科目」を選んだ結果である。

一般常識科目については、私の出身学部の学びを活かした。この科目は、センター試験の政治経済に似ており、実際に政治経済で80点以上を取ると、科目免除される。私の出身学部は政治学科であり、もともと持っている知識を利用して、80点程度の点数を取ることは比較的容易だったのだ。具体的には、既存の知識を補強するため、過去問を繰り返し解くことで対策した。これも私にとって、「限界費用の低い」科目であったといえる。

つまり「限界費用の低い」科目から学ぶと、合格水準まで楽に達することが出来る。この勢いを利用し、他の科目へ時間と労力を投入していけばよい。 =