ファーストドラフト

2012-08-30 19:48:57 卒業論文のファーストドラフトが仕上がり、ようやくAbstract(抄訳)を書く段階に入りました。 残りの1週間で修正や体裁を整える感じです。途中でガス欠になり進捗が遅れましたが、とりあえずゴールに近づきほっとしています。 論文作成に費やした時間は、構想を含めると半年間。随分時間がかかりましたが、留学前から取り組みたかったテーマなので、これを仕上げれば初志貫徹、一応留学ストーリーにオチがつきます。そのおかげで、非常に満足度が高いです。 テーマをかかげた今回の留学の過程で、これまで本当に多くをまなぶことができ、「何を学ぶのか」を明確にした留学は学習効果が高いと実感しています。 周囲を見ていると、自分のテーマも持たず、卒業論文の課題設定から苦労する人も多かったように思います。そもそもPost graduateは何を学ぶのか、誰に学びたいのかを明確にした学生が行くべきところです。 志や目的も不明確なまま、「ランキングが良い」「周囲に留学者が多い」とか「とりあえずMBAを取る」という二次的な動機で留学している人は、どうも何等かの不満を抱えており、学びから得れるものの限定されているようです。 学びとはもともとActive paricipationがもとめられるリスキーな行為であり、受け身の姿勢では労多くして実りすくなし。自分次第であり、どれだけ問題意識を持てるかが学習効果に跳ね返ってきてしまいます。 さて、論文を出し終えると、いよいよMBAも終了、あとは3か月後の卒業を残すのみです。 卒業までの時間、いくつかのプランを描いていて、ことによってはかなり充実した日々が過ごせるのではないかと期待しています。 留学前に掲げた目標3つのうち、MBAでのマイテーマ追究が実現しつつあるので、今後は残りの2つに向けて時間と労力を投入する予定です。 これとは別に、時間を見つけてMBAで学んだこと、またIELTSや英語学習についての経験も、一旦振り返って体系的にまとめてみよと思います。英語に関しては、日本にはない面白いコンセプトや教材などに出会ったので、こういったものも紹介できると日本人の英語力が高まるはずです。 勉強できる環境に感謝しつつ、あとひと踏ん張りしたいところです。

卒論も佳境に入りました

2012-08-25 20:41:49 卒業論文も佳境に入り、現在Discussion partを書いています。 リサーチで浮彫になった問題点をもとに、ここでソリューションを提示する構成です。 テーマは日本の英語教育ビジネスです。 ある日本の英語学校をケースとして、サービスオペレーションの分析手法を用いて、サービスのインプット(生徒や先生、教材)と、プロセス(授業の進め方、カリキュラムの体系など)のばらつきを分析し、それを安定化させる。 製造業のように製造工程を管理し、目に見えにくい授業プロセスを標準化させ、授業のアウトプット(成果)を明確にして生徒に提供する手法を考えています。 この分析手法は、英語学校に限らず、すべてのサービス業に使うことができます。 ディスカッションパートを書く素材探しに、一昨日はロンドンの有名な英語学校を見学させてもらいました。 厳しい品質管理、成果保障で知られ、カリキュラムが体系化されていて大変感動しました。 おかげで論文執筆がすこし楽しくなった次第です。 こういった優良な語学学校を、日本風にアレンジして低価格で提供できればいいなと考えています。 適切な方法論のもと、体系に沿ってステップを積み重ねれば、だれでも運用英語力を確実に伸ばせるものにしたい。 「教師は教えた気になり、生徒は学んだ気になっただけで、結局お金だけかかり実用英語力が上達しない」という、大半の日本の英語教育の現状を何とかしたいとおもっています。

英国 都市貧困度ランキング

SheffieldからBathに拠点を移してからちょうど1年がたちました。 さびれた工業都市から世界遺産都市へ移動した経験は、私たち夫婦にとって強い衝撃として残っています。 Sheffieldではあわてて決めた寮が、ソマリアなどのアフリカ系アシュラムシーカー(亡命申請者)たちが巣食う、London road地区のそばにあり、日中でも人気のない通りは身の危険を感じる状態。夜間の歩いての外出などは怖くてほとんどできず、必要がある場合はやむなく寮の玄関までタクシーに来てもらう、そんな生活でした。妻にもつらい思いをさせてしまったと思います。 一方でMBAのために移動したBathでは、極めて安全な生活を送ることが出来ました。 所得レベルが高い地域であり落ち着いていて、日本同様、いやそれ以上に安全とすら感じます。 妻がさまざまな地域活動に夜参加するときも、気軽に送り出せるのは大変助かりました。 同じ英国なのに、全く異なる都市の雰囲気です。 どのくらい生活上の落差があるのかを客観的にお伝えするには、やはり統計データが有効なツールでしょう。 Guardian紙は今年、英国の”都市貧困ランキング”を掲載しました。。 ランキングが上位であればあるほど、”貧困度”が高いことを示します。 http://www.guardian.co.uk/news/datablog/2012/mar/06/poverty-england-experian-rankings 対象都市は322中、Sheffieldは38位、一方Bathは193位です。 データ上からも、Sheffieldは貧困度が高く、Bathはかなり裕福な地域であることがわかります。 BirminghamやManchesterなど、日本人に有名な都市は貧困度ランキングで一桁台。 何度か足を運びましたが、Sheffield以上の貧困度というのはうなずけます。 ここには男一人での留学なら問題なく住めますが、家族をつれてくとなるとちょっと・・・という感じです。 英国では1970年代に大量の移民導入政策を取り、スキルがなくとも安く雇える労働力を調達しました。 一方でその政策は治安の悪化、都市貧困層を生み出し、現在も英国の大きな問題の一つとなっています。現在英国がEU以外へ労働者ビザ発給を厳しくしているのも、失業率が高いだけでなく、こうした過去の移民政策も関連しているといえます。 人口減少社会となった日本も、今後はさらなrく移民政策論議が必要になるでしょう。BBCでも何度も取り上げられていますが、「少子化で労働力減少がわかっているにもかかわらず、日本が積極的対策を取ろうとしているようには見えない」と、その視線は厳しいものです。 移民を受け入れた先輩として、日本が英国に学べることは多いかもしれません。

”彼を越えていけ”

2012-08-19 21:15:15 MBAの卒業論文作成中、指導教官に言われた印象的な言葉がありました。 「お前の論文は、サービスオペレーションで有名な教授の研究内容をなぞっているだけだ。それではだめだ。お前に求められているのは、鵜呑みにせず、彼を越えていくことだ。」 MBA修士論文レベルでこういった要求をされるとは予想しておらず、これを言われたときは正直言ってかなり落ち込んだのを覚えています。自分の甘さを思い知らされ、これではまずいと、とにかく論文を読み直して全体の構成を練り直しました。 MBAでこれまで書かされた大量のエッセーでは、基本的に「課題を正しく理解しているか」が評価対象だったため、今思うと卒業論文も同じような感覚で取り組んでいたのかもしれません。 前にも書きましたが、アメリカのMBAは基本的にプラクティカル重視であり、アカデミック的な卒業論文を書くことは卒業要件ではありません。書こうと思えばかけるそうですが、よっぽどの変わり者以外は、企業のコンサルティング活動などの実践プロジェクトなどをして卒業します。 そこで問われるのは、既存のフレームワークを現実に当てはめて問題を整理して解決したりと、とにかく実践することです。反射神経、瞬発力を磨く。アメリカのMBAが実務家を養成するといわれるゆえんです。つまり、そこでは研究者にでもならない限り、「既存の研究をなぞるな、それを越えていけ」と言われる余地も、必要もないわけです。 一方で、イギリスのMBAは実践一辺倒ではありません。 グループワークやプレゼンテーションが大量に設定され実践にも配慮する一方で、理論を大切にし、そこに自分の問題意識をもって議論を奨励される土壌があります。指導教官にもよりますが、私のように修士レベルでも「既存研究を越えていけ」と平気で言われたりします。自分で問を立てることを非常に重視する。 好き嫌いがわかれるかもしれませんが、私にはこれが欧米の良きアカデミズムの一例だと感じられてなりません。Make differenceというか、これまでの蓄積をベースに、何か違いを生み出すこと自体に価値をおく。 これらは、おそらく日本で米国系外資に勤め続けていたら一生体験しなかったことです。 最新フレームワークが本社からたくさんカスケードされてきても、それをどう解釈し、どういった問題点があるのかなど、疑問をもつことも、それ以上考えることもなかったと思います。ただただ、反射的につかっていくだけ。 今はビジネス書への態度も、「根拠は?」「それはお前の単なる感想じゃないか?」「眉唾だ」などと冷たい視点で読んでいますが、イギリスに留学しなければ、批判的によむ手法も知らず、素直に鵜呑みにしていたでしょう。 「鵜呑みにせず、批判して”彼を越えていけ”」。指導教官の言葉は、今の日本人ビジネスマンにとってとても必要な視点ではないでしょうか。和を尊ぶ文化で批判精神を持ちづらいからこそ、あえて意識する必要がある。 日本で翻訳されたり出版される珠玉混合のお手軽ビジネス書にミスリードされないためも、”既存研究をリサーチして問をたて、自分で答えを探る”、という一見ビジネスと縁遠いアカデミックな視点をもつことは、ビジネスマンにこそ有効かもしれません。 

Common European Framework

2012-08-18 06:58:21 アジア圏で一番英語力が高い国はどこでしょうか。 さまざまなリサーチデータが出ています。TOEICやTOEFLの平均点は代表例です。公用語として英語が使用される香港、シンガポールあたりは非常に高そうな印象ですね。 下記資料によると、実はマレーシアが最も高い英語力を示しています。 http://www.efjapan.co.jp/sitecore/__/~/media/efcom/epi/pdf/EF-EPI-2011-Japan.pdf この資料、全ては信用できませんが、マレーシアに関して言えば、国籍の学生が集まる英国での私の経験から考えると、このデータは非常に信憑性があると感じます。実際に私が出会った多くのマレーシア出身者は極めて高い英語力を有していました。 まず、英国留学するにあたり、彼らは大学院準備コースに進みません。大学院に進学するのに十分な英語力を自国でみにつけているためです。 通常の大学院準備コースには、アジア系では中国・韓国・タイ・台湾、そして日本人が多くを占め、 あとは中東系の生徒がよく在籍しています。 友人の中国系マレーシア人はシェフィールドハラム大学の放射線科技師コースに準備コースを経ず進みましたが、これはマレーシアで小学生から英語を学んでいたためでした。彼女以外にも、多くのマレーシア人は高い英語運用能力を持っています。 マレーシアでは小学校から英語を学び、卒業時に英語の検定試験を受けるそうです。 英国領だった背景から、ブリティッシュカウンシルで学習する風習が全土に根付いており、ケンブリッジ英検を受けることが教育に根付いています。 つまり、「使える英語力」の鍵は、ケンブリッジ英検にある。 ケンブリッジ英検は基礎から学習を積み重ねればバランス良く英語力を高められるツールです。CEF(Common European framework)という、欧州の語学学習の標準的フレームワークに準拠しており、非常によく考えらえた学習体系です。日本でも徐々に認知度が上がり、NHKの英語講座でもこのフレームを導入したようです。先日日本に帰国してテキストを見たとき、CEFのフレームにそって講座が構成され始めたことに驚きました。 http://eigoryoku.nhk-book.co.jp/cefr.html CEFは語学の上達レベルを6段階に分け、それぞれのレベルで達成すべき項目が細かく規定されています。これは学習者にとっては語学上達の道標となりますし、語学サービス提供者としては授業の品質管理の基準ともなります。 MBAの卒業論文で英国の語学学校を調査したのですが、すべてこのCEFの枠組みにそって授業が行われます。特に習得すべき言語レベルを運用能力という点から細かく定義していて、この枠組みにそって学習すれば語彙・文法が実践で活用できるようになります。つまり、言語教育サービスをProduct(製品)ととらえ、曖昧模糊になりがちな語学教育を可視化しています。 ISOに代表されるように、欧州は本当に物事の仕組み、フレームワーク、体系を作るのがうまいと感心します。 私は、この段階的なCEFのフレームワークのさらなる普及が、今の日本の語学教育に必要と考えます。 。語学学習を体系化し、こまかなステップに落とし込む。学習者は自己レベルを認識し、上達への明確な目標を持つ。教師側は体系に沿って授業を提供する。その段階を積み上げることで、無理なく語学は習得できる。 CEFが日本でももっと普及し、特に中等・高等教育でうまく活用されることを望みます。そうすれば子供たちが「使える英語」を身に着けられる可能性が、飛躍的に高まるはずです。