『新・基本英文700選』を暗唱するベネフィットと注意点について

英語力を向上させたいと思う人なら、一度は手に取ったことがある参考書。良書は大量に出版されているので、いくつか挙げられると思います。
中でも『新・基本英文700選』は、その目的が明確なタイトルのため、購入された方も多いのではないでしょうか。

先日、ようやく『新・基本英文700選』を学習し終えました。
学習し終えた状態というのは、『新・基本英文700選』は2ヶ月半かけて繰り返し繰り返し700文を全て暗唱し、ランダムチェックを受けて、日本語⇒英語に瞬時に口頭で訳すことができた状態をさします。
ちなみに、『英文解釈教室』も以前に読了し、英文解釈の基礎トレーニングを一通り終えています。

英文の暗唱を終えて、自分の中で変化を感じるようになりました。

そこで、英語学習者にとって、この本で何が得られるのかをまとめてみたいと思います。

前提として、英語の基礎力なしで、いきなり700選を暗唱するのは、単なる音声と文字の丸暗記になりがちです。応用可能性の低い知識となってしまい、努力が無駄になってしまします。そこで、まずは中学英語レベルの表現を口頭で英作文するなど、英語の基礎がきっちりと身についてから700選に進まれることを強くおすすめすます。有用な本ですが、挫折率も高い「危険な」本といえますので、ご自身の英語力に会わせて使うべき教材です。いきなり700選に取り組まないことが肝要です。

リーディングでの変化

難易度の高い文章に触れても、「これ、これまでに暗唱した英文のうちの、あの型に当たるのでは?」と、推測が可能になり、文章をすっきりしっかり捉えられる。

700選の冒頭には、この本は「英文の「型」の全体像を提示する例文集」という謳い文句が記されています。
暗唱して、確かに感じます。私はThe Economistが好きで良く読むのですが、暗唱した例文の型が体に染み付いているので、文章を読んだ時、分かりづらい箇所でも「あの文型、パターンに近いかな」と推測したり、検討出来るようになり、結果として文章の構造を楽につかめるようになりました。
以前は文章を読んでいても、なんだかふわふわした感覚で、きっちり読めていないという、いやな感覚が残っていたのですが、今はすっきりと英文構造を捉えている、確かな実感を持ちながら読めるのです。

注意点は、700選と英文解釈教室はセットで学習することです。まず英文解釈教室を読了し、英文を読むとはどういうことか、体感する。
そして700選を暗唱する
理由は、2つは関連性が高く、補完し合っているとすら感じます。また両方学ぶことで、相乗効果が見込まれるためです。700選だけだと、文法の説明が簡潔すぎて足りないのですが、英文解釈教室を読んでいれば、「この箇所か」と自分で補いながら学習できると思います。

スピーキングの変化

暗唱した例文に含まれる、豊富なコロケーションや文型の知識が、スピーキングする際に自分を助けてくれる

私は700選の暗唱を、筆写はせず、すべて口頭暗唱で行いました。筆写も暗唱に効果があるのですが、筆写してしまうと、それだけで安心してしまい、結局暗唱を妨げることもあるためです。日本語をみて、英文がスラッと出てくるまで、繰り返し繰り返し暗唱します。1冊の本を何回転したでしょうか。20、30回以上は、暗唱を繰り返しました。すると、ディスカッションの場で、暗唱した英文の文型やコロケーションを、引っ張りだして使っている自分がいます。暗唱した文型を軸にして作る英文は、型が崩れずブロークンになる危険もすくなく、安定もします。これは、英文700選が基本的にはライティング強化のために編纂されている点から考えると、非常の面白い効果と言えます。

ライティングの変化

こちらは、今後検討していきたい点です。
なぜかというと、私は大学院でさんざんエッセーや論文を書かされ続けてきたので、アカデミックな英文を書くことに元々慣れがありました。あまり苦手意識がないのです。なので、700選を暗唱して、劇的に英文を書く力が向上したかというと、まだ分からないというのが実感です。これについては、今後いろいろな英文を書くことを通じて、その効果を検証したいと思います。

一般的には、ライティングが苦手な方にとっては、700選の暗唱は英文の型を覚えるのに非常に効果的です。
しかし、この表現集は口語と文語体がごちゃ混ぜに構成されており、どの場面でどの表現を使うべきかという、Usageの点からは素直におすすめ出来ず、さらなる学習が必要なのもまた事実です。
たとえば、英文ライティングを向上させるには、まずアカデミック論文の書き方をがっつり学び、堅くオフィシャルな英文に慣れたあと、誰に書いても気分を害する可能性のないライティングを学び、その後、それ以外は口語的なくだけた表現だ、とあたりをつけると、usageの感覚が身に付くのでは、と思います。

さて、700選批判で良く有るのが、「こんなセンテンス、googleで検索してもほとんど出てこない」「文法事項が複雑すぎて、自分が実際に書いたり話したりする場合、使うべきではない」といった意見です。確かに一理あります。
しかし、700選は「英文の型」を体に覚えさせるための教材であって、この700選の表現だけを使って話したり書いたりすべきものではないのです。全てが実務や会話で使える表現ではないのは事実ですが、しかし高度に複雑な文法事項を暗唱することで、別の機会、たとえば読書の際、同じ文型に出会った時、理解を自動化してくれるなど、英文の処理能力を高め、網羅的知識を広げてくれるのです。

私が言えるのは、700選は、全ての目的を満たす完璧な文例集、ではもちろんない。しかし、一度完璧に暗唱すると、英文のセンスが高まり、読解やライティングが楽になる。特に英文の原書や、The economistなどを読んだり、論文を書いたりしたい人には、有用である。そして、個々人の目的に合わせ、他の英文を更に暗唱する際の、確固たる土台となりうる、という点です。

 

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