外資系企業と日系企業の両方を経験してわかった、「攻めの経理」への意識の違い

日本国内の市場が縮小する中、日本企業は海外展開を余儀なくされています。

海外で稼げるグローバル企業への早期に脱皮できた企業もあれば、ひたすら赤字を垂れ流してもがき苦しむ企業もあります。

いったいどこにその差があるのでしょうか。

ビジネスモデルの選択、マーケティング戦略、営業力、グローバル人材・・・様々な要素が考えられそうです。

しかし、私はあえて、「管理会計に強い経理ファイナンス部門を抱えている会社は、海外展開に早期に成功する」と思います。

それはなぜでしょうか。

それは、管理会計が「攻めの経理」だからです。
「攻めの経理」とはどういうことかというと、とにかく経営者に近いのです。経営者の意思決定を左右する計数データをあつかうため、とにかく、精神的にも肉体的にもハードなのです。

またビジネスを経営者の意向にそいつつも、会計的に問題がない形でビジネスを前に進めるよう、予算管理の視点から現場へコミュニケーションを取る必要があり、これも非常にタフな作業です。経費使用の促進やストップ、新たな投資案件の検討など、様々な思惑が錯綜するため、管理会計はしばしば戦いの様相を呈します。
これが海外展開という未知の領域であればあるほど、扱うべき変数も増えます。混沌とした世界では、強いリーダーシップが求められ、それを支えるのが「攻めの経理」たる管理会計なのです。

私が外資系企業に勤務していた時、経理ファイナンス部門は70人ほどいました。その外人CFOの部屋のドアの前には、必ず管理会計部署、とくに予算管理の担当者の座席が設置されていました。「彼に聞けば、会社の数字の全てがわかる」という状態が、予算管理担当には求められるのです。

この「管理会計は攻めの経理」という発想は、外資で徹底されています。
しかし、日系企業ではそういった認識はほぼありません。
この認識の差が、企業の「攻め」の活動の典型である、海外展開の巧拙に影響していると言えます。

外資では管理会計の部署が独立して設置されることが殆どで、そこでビジネスのドライブに明確な責任とプレーシャーを与えていますが、日系企業では実態のよくわからないぼやっとした名称の「経営企画部」の中に、管理会計担当がいるのが殆どです。(ちなみに外資では、経営企画部はありません)。

ちなみに「守りの経理」の典型が、財務活計です。これはいわゆる、「会計的に正しく帳簿をつけ、利益計算し、税金まで1円の狂いもなく計算する世界です。ルールがあり、同じ事の繰り返しでもあるので、比較的のんびりできる仕事です。ミスがあっても修正仕訳すればリカバーできます。

日系企業は、この「攻めの経理」と「守りの経理」が、ごっちゃになっているのです。人数の少ない会社では、一人で両方担当しているケースもあります。両方の仕事は似て非なるもの、求められるメンタリティ自体が全く異なるのです。これでは管理がうまく行くはずはありません。
しかし外資では、小規模な企業でも、必ず財務会計担当と、管理会計担当を分けて設置します。後者のほうが、明らかに効率がいい。

日系企業は、「攻めの経理」への意識を高め、専任担当者を設置することで、変数の多い海外展開に、うまく対応できる可能性が高まるのではないかと思います。

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