学びを最大限に生かすために〜Transfer of learning (学習の移転理論)

O:

MBAの卒業式で、多様な進路に進んだ同級生と会う中で気づいたことがありました。

新しいチャレンジに充実感を感じているグループと、それほどでもないグループがいたことです。

前者は、独立創業を選んだ人や、大企業から中小企業へ移って責任やキャリアチェンジを果たした人たちです。こういったチャレンジを選んだ人は、リスクは高く見えますが、MBAでの学びを最大限に活かせている、という実感があるのでしょう。

P:

一方で、淡々と仕事をこなしているように見えるのが、代わり映えのしない職種や業界で働くという低リスクの選択をした後者のグループです。彼らには、MBAで経営的な視点と知識を獲得したにも関わらず、”この選択でよかったのか”という、潜在能力を生かし切れていない不完全燃焼の感覚があるようです。つまり、学んだことを学びで終わらせている人と、それを使って活かしている人の違いです。

Q:

彼らと話す中でわいてきた疑問は、”キャリアの満足度を高めるために、いったいどのように学んだことを活かすべきなのか”という問いです。

A:

これに対する答えは、Transfer of learning (学習の移転理論)が使えるかもしれません。

http://learnweb.harvard.edu/alps/thinking/docs/traencyn.htm

簡単に言うと、学んだことを実際に活かすことで、学習効果が高くなるということです。

”学習の移転”とは、あることを学んだことで別のことを学ぶパフォーマンスに影響を与えることをいいます。

学習の移転には2つの形があります。

①Positive transfer:(積極的移転) ある状況における学習が他の状況における”関連するパフォーマンス”を良い方向に促す

たとえば、MBAに留学し、多様なバックグラウンドの人と交わった経験が、「英語の間違いを恐れるのではなく、積極的に使うべき」という確信に代わり、実務でより大胆に英語で仕事できるようになる。結果として、高いアウトプットが出せるようになる。

②Negative transfer:(消極的移転):ある状況における学習が他の状況における”関連するパフォーマンス”を悪い方向に促す

たとえば、日本の古い受験英語教育の「減点方式、音声なし、文法偏重、訳読式」学習を刷り込まれ、実際のビジネスの場では英語使用に萎縮してしまい、十分な成果をあげられない。

学んだことを、学びとして終わらせず、それを使ってアウトプットを出す。
そのアウトプットが、以前の自分より高いレベルのモノになると、満足する。
この繰り返しは好循環サイクルと言えます。

Transferは次の2つを含みます。

・Near transfer:(近い移転):非常に関連性の強いパフォーマンスに対して発生する学習のこと

・Far transfer:(遠い移転):かなり異なる状況やパフォーマンスに対して発生する学習のこと

論文中では、この"学習の移転”は起こりうるが、よく起こるわけではない、と言われています。

たとえば、英語を学ぶにしても、学ぶこと自体が目的化されてしまい、実際に使わない単語などの暗記、文法問題集の解答に走ってしまう状態です。実際に活用することと切り離されて、学習の移転が生み出されず学習効果も低いのです。

学んだことをすぐさま活かす、また活かそうと意識するで、”学習の移転”が生じてその学習効果は高まります。こうした効率的な学びを実感できること自体、人間にとっての一つの幸せでもあるのではないか・・・そんなことを、MBAの同級生を見て思いました。

いづれにしても、何かを学ぶときは、なぜ学ぶのか、どのように学びを活かすのかを具体的に考えることが重要ですし、”学んだことをなにか別の事に活かせないだろうか”と常日頃積極的に探す姿勢も、学習効果を高めるために大切だと思います。

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