海外現地法人を管理する難しさ

MBA卒業後、英語への思いをいったん胸にしまい、日本のベンチャー企業のCFOとして働きはじめて、今月で9ヶ月である。社長さんからは、「この会社は売り上げ規模が30億円と大きいわりに、管理会計の仕組みがととのっていない。君には8割管理会計、2割財務と税務会計をやってほしい」といわれて入社したのを覚えている。

実際に入社して、巨大外資系企業が備えている管理会計の仕組みが全くないため、予算実績差異を分析することすらできないことがわかった。この9が月は、会社の仕組みを理解することと、外資系企業が使っている管理会計の仕組みを移植することだけに、時間のすべてが費やされたようなものである。

管理会計の仕組み導入が一段落した最近、海外拠点管理の仕事を徐々にまわされることが増えてきた。今日はグループ内の中国法人のfinance directorと、資金繰りや売上費用認識について話し合った。

会計がわからないビジネスパーソンと、わかるビジネスパーソンの違いはなんであろうか。それは、キャッシュと収益の違いが感覚としてわかっていることだ。特に企業経営者は明確に両方の違いを把握している。会計がわからないビジネスパーソン、つまり現金の動きだけしか考えられないビジネスパーソンは、経営の視点から自分のビジネスを見ることができない。

これはキャッシュの出入りと、売上費用の認識時期がずれることがあるためだ。売り上げマイナス費用が収益であり、この収益が企業経営に一番大切な数字である。ここの感覚がわからないと、経営はわからない。たとえば、仕入れ先に外注費として100万円を支払ったが、実際に役務提供を受けるのは2ヶ月後である場合、この支払いは費用ではない。前払費用という資産であり、現時点で収益に影響しない。実際に役務提供を受けて初めて費用認識する。このあたりの感覚は、企業でそれなりのポジションを目指す人は、持っておくべきものだ。

日本の本社と海外の子会社間の内部取引で、よく起こりうるfinance 的な問題は、売り上げと費用の認識時期の不一致である。日本企業の決算月は3月であるが、海外では12月が一般的であるため、売り上げや費用を帳簿にのせて収益をコントロールしたい月が異なるのである。グループ内での売り上げと費用は、コインの裏表のようなものだ。日本側が中国の子会社に業務を発注したら、前者では費用、後者では売上と認識する。当然両者で売り上げと費用の認識顎やタイミングが一致していることが求められるのだが、海外展開を開始した我がグループ企業では、このあたりの管理ができていない。

今日は良い事例があった。社長さんが突然寄ってきて、「うちの会社から中国子会社へ3月に支払う1400万円は、費用としても3月に処理する。しかし中国側で今月の12月に売り上げとして強引に処理するといっている。グループ内の収益差異はもんだいだよな。ちょっと中国の財務と連絡をとってくれ」と言う。

さっと中国の財務担当にメールしてみた。久しぶりに英文でメールを書いたので、なつかしい。イギリス仕込みの、丁寧な表現で書いたところ、相手のdirectorも感じよく応じてくれた。問題のポイントは、中国の総経理がどの程度この案件に絡んでいるかだ。ここが確認できれば、グループ内調整はスムーズにすすむ。

MBAでさんざん英文を書いてきたので、1年ほど英語をつかっていなくとも、なんとかなるものだ。もっともっと表現の幅を広げたいものだ。

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