ベンチャーのCFOを勤めて知った、財務計画の大切さ

家計簿をつけていないという方はおおいのではないだろうか。
たしかに手間はかかる。それに家計簿などつけなくても今の生活で困ることはない。必然性を感じないのだ。

こういったどんぶり勘定の家計管理は、安定した定期収入を得ていたり、目先に必要なキャッシュフローが潤沢にある場合、問題とはならない。むしろ家計管理に時間をとられないため、ある意味効率的とも言える。

しかし、このどんぶり勘定は、ひとたび家計の状況が悪化すれば、たちまち行き詰まる。大きな買い物をする際や、人生の一大イベントなど、大きな変化に弱い。これまでの家計、そして現状、さらに将来について、家計を把握できていないため、最適な判断ができないのは当然である。

さて、どんぶり勘定の家計では変化に対応できないことはわかった。
ではどうしたらよいのだろう?

私は企業でのCFO経験から、個人の家計にも企業会計、特に管理会計の感覚を持ち込むべきだと考える。

わたしの経験を話そう。

私は英国のMBAを終了後、あるベンチャー企業にCFO見習いとして入社した。
設立15年の若い会社で、売り上げは30億円だ。
きわめて営業利益率が高いビジネスモデルのため、管理会計はいいかげんである。
普通の企業では、財務諸表に関連する数字の計画をたてる。P/L, B/S/ CF計画が一般的であるが、この企業には細かな計画はなかった。わずかに年間の売り上げと営業利益計画、そして年間の人件費計画があっただけ。

このどんぶり勘定の会社が、ある上場企業にM&Aされた。そして今年から上場企業が求める水準の損益、資金予測を毎月提出する必要がある。まさにそんな年の4月に、私は入社したのだ。おまけに今年から上場企業が使用している管理会計システムを導入し、大混乱である。

この状況下で、 CFO として毎月上場企業に数字の報告することは困難を極めたのは言うまでもない。
なにしろ細かな年間計画がないのだから、現状何がおこっているかがわからないし、将来も見通せないのだ。

半年間苦労して、独力で年間の予算管理システムを完成させ、ようやく企業で何がおこっているのかを、第三者に論理的に説明できるようになった。
計画とは、売り上げだけでなく、原価、一般管理費、人件費などの損益。投資計画、キャッシュフロー計画。これらをすべて一人でつくったのだ。

そして、企業は「今なにがおきているか」を正確に把握することができるようになり、「将来どういう投資を行うべきか」を素早く決断できるようになった。

この経験から、企業が危機を脱し、成長し続けるには、「計画」が不可欠だと身にしみたのだ。
そして、このフレームワークは、企業のみならず個人の家計管理にも応用できると気づいた。
そう、我々個人も、自分の人生を経営している。計画なき経営は、どんぶり勘定で場当たり的なダメ企業と同じく、破綻することはあれ、成長は見込めない。

計画、計画、計画。
そして計画とは、達成度をはかる必要があり、財務数値をともなったものであるべきだ。

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