なぜ日本に進出している外資系企業は、CFOだけは本国から送り込むのか?

グローバル化の流れで、多くの日本企業が海外進出を押し進めていますが、その多くは海外拠点の管理に苦しんでいます。例えば私が所属しているとある上場企業は、アジア地域への面拡を押し進めていますが、現地法人を思うようにコントロールできず毎月収益予測の見通しをたてることができない状況です。日本を代表する上場企業ですら、この体たらくなのです。

日本企業と比較し、欧米企業は上手にグローバル化を進めています。P&G、 GE、Pfizerなど、世界100カ国規模に事業を拡大させ継続的に収益をあげ続ける企業群は良い例です。筆者はある巨大外資系企業のファイナンス部門で働いた経験があります。その経験をもとに、なぜ外資系企業は海外展開、管理がうまいのかを考えてみます。

よく言われるのが、グローバル企業は”現地化”に長けている点です。本国人が現地人をマネージするのは限界がある、現地国のことは現地人が一番わかっているという前提に立ち、従業員だけでなくCEOも現地人を置く企業は大変多い。

しかし、グローバル企業が海外進出する際、決してつかんで話さないポジションが一つだけあります。CFOです。もちろん日本人がCFOを勤めているケースはありますが、私が所属した外資、そして面接した多数の外資系企業のCFOは本国人。企業の予算策定と予算執行、そして実績分析こそが、そのその組織をコントロールするために最重要であるという考えから、CFOのポジションは本国からの派遣者がつとめるのです。

私が所属した外資も、CFOは本国から派遣されたフランス人でした。本国への報告(レポーティング)を第一に考える彼は、会社で起こっていること、そしてこれから起こりうることすべてを把握するため、我々日本人に厳しい要求を突きつけてきました。すべてのfactにreasonを求めてきたのです。この金額はなぜ発生したのか。なぜ利益が計画をしたまわったのか。細かく細かく問われるのです。日本の同業他者と比べ、製品ごとに細かく損益管理を行い、責任を厳しく追及していきます。その際、企業活動に何が起こっているのかを把握するツールとして彼が重視していたのが、budgeting & planning (予算計画)、variance analysis(差異分析)です。

つまるところ、企業には達成したい目標がある。それを数値化したものが計画である。売上と費用が代表的なものです。これを年初に決め、月展開する。この計画とは別に、状況変化に対応するために毎月の予測(forecast)をたてる。そして、毎月収益実績が確定した際、計画や予測値と比較対象する。そこで発生する差異は、いわば企業が達成したい目標とのギャップである。このギャップを分解して原因を探るツールが、差異分析です。
このサイクルをつかむことで、企業活動の過去現在未来を把握することができる。暴走を未然に防げる。だからこそ外資系企業はCFOを最重視し、現地法人の現地化を進めるとしても、このポジションだけは本国がつかんで話さないのです。つまりCFOの地位が外資系では総じて高い。CEOの登竜門として、CFOのキャリアが必須とされるという考え方は欧米企業に根強いのです。

一方日本企業におけるCFOのポジションは決して高くはありません。もの作り重視、現場重視が日本企業の強みではありますが、CFO軽視の考え方は、企業を海外展開する際のボトルネックとなっている側面は否定できません。
丼勘定では組織の無駄や問題点は炙り出せず、場当たり的対応せざるを得ない。そうではなく、厳しい損益管理が組織を強くする。そのための役割をCFOが担うのです

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